アフガニスタン産サフランについて

サフランとアフガニスタン

サフランの生産国で有名なのはイランであり、世界の生産量の90%(実情は95%)以上を生産しています。一方でアフガニスタンはサフランの生産量は世界中でも僅か数%ですが、生産量は常に世界の上位3ヶ国に入ります。アフガニスタン産サフランの品質は世界で1位、2位と言われています。実際に2018年国際味覚審査機構(iTQi 2018)では最高ランクの三つ星を獲得し、2013年から2015年に渡り3年連続でクリスタル味覚賞「Cristal Taste Award」を受賞。これほど高品質なサフランを作っているアフガニスタンですが、世情を鑑みるに、なかなかアフガニスタン産サフランと出会うことは難しいのも実情です。
アフガニスタン産、スペイン産などと称されているサフランが果たして本当にその産地で生産されたものであるか、見極めるのは買い手に任されています。目的のサフランと巡り会うのは至難の業です。中東での取引において買う側の知識が定かでなければ、目指していたサフランを手に入れることは困難を極めることになります。

ではサフランを購入することがアフガニスタンを支援することになる理由を追っていきます。その前に、アフガニスタンの現状(2024年1月)を知っておいてください。

アフガニスタンの今までの情勢と現状

前政権(アメリカ統治下)との違いを際立たせたいタリバンにとって、犯罪行為を取り締まり、シャリーア(イスラム教の法典)に則り公正で秩序だった社会を築くことは民衆の支持を得るために重要であった。ムジャーヒド報道官がパシュトゥー語とダリー語版の声明を英語よりも先に発表した点から見ても、基本的に、タリバンはアフガニスタン国民向けに薬物の所持・使用は非合法化である旨を表明をしたものと考えられる。
近年、アフガニスタンでは薬物中毒者の数が再増加し始め、深刻な社会問題となっている。しかしながら、タリバンが国外に向けたメッセージがどうであれ、現実問題ケシ栽培を完全に禁止することは非常に難しい。1990年代後半、タリバン政権が国際社会から厳しい経済制裁を受ける中、アフガニスタンにおいて麻薬栽培はほぼ唯一の外貨・現金獲得手段であった。現在も紛争状態にあるアフガニスタンでは、ケシは最も効率的な換金作物として栽培が続けられている。

アフガニスタンの農作物の可能性

では、アフガニスタンがケシの他に何も産出しない国なのかというとそうではありません。農業大国であるイランと地続きであることを考えても実に様々な農作物が生産されています。クルミやピスタチオをはじめとするナッツ類やイチジクやレーズン、ザクロなどに至っては、アフガニスタン産の農産物の美味しさには定評があるのです。
ただ、その換金率を考慮するに、一度ケシ(麻薬の原料)栽培に携わった農家にとって通常の農産物の労役に対する対価を鑑みるに中々とって変わる物はそうそうありません。ただ、消しを栽培する農家の方も好きで消しを栽培しているわけではありません。自分の子供に仕事は「綺麗な花を売っている」と伝えながら、麻薬産業に関わり、その自責の念と変わらぬ貧困と飢餓状態から目を背けるため、農家の主人である男性も麻薬中毒に浸ってしまっているという悲しい現実があります。
アフガニスタンの生命線とも言える農産物の一つにサフランがあります。サフランは近年国際社会では注目を浴びている農作物の一つであり、生産対価が高くさらにアフガニスタン産のサフランは世界基準でもとても高く評価されています。男性が働かなくなった今、外を一人で出かけられない女性や学校に行けない子供たちはサフランを育て、自分たちの未来を少しでも明るくしようと頑張っているのです。

もちろんアフガニスタンにはサフラン以外にも素晴らしい農作物があります。
日本でも手に入るドライフルーツやナッツについては「シルクロードの愛情フルーツ農園」をご覧ください。

何故サフランなの?

実際にイランやアフガニスタンからサフランを輸入する際、海上でのコンテナでの輸送についてはほぼ100%盗まれるとのことです(某国サフラン輸入業者)。
空輸であっても航空会社や役人によって、税関や検疫で没収という名の窃盗が行われることもあります(サフラン輸入業者より)。
ただ、言い換えるならば、世界中の人間が欲する農作物サフランであるともいえます。
金塊を積んだ船よりサフランを積んだ船が狙われるのです。

サフラン自体の単価が高いということもあり、流通ルートが誠実な人間によって安全に構築されれば、農家の収入源は安定し経済的に潤います。しかしながらサフランの値段は年々上がり続け窃盗まで起きているのにも関わらず、生産者である農家への見返りは少ないのです。
「サフランの需要が高まっている」その理由は近年のサフランの研究により「サフランの効能や効果」が計り知れないくらい凄いという結果によります。
それでも、その恩恵は農家にまでは届いていません。

ドイツでアフガニスタン産サフランのサプライヤーをしているZ.Oのお話

サフラン農業に従事しているのは女性や幼い子供たちです。彼らは安い賃金での労働を強いられています。月額500円の家賃が払えず、古代の遺跡である山の斜面の窪地である洞窟に住んでいるい人も多く存在しています。

アフガニスタンでは女性の地位が低いので、地位向上に貢献したい

アフガニスタンは、国際支援を何度も受けてはいますが、支援の全てが確実に彼らの手元に渡るわけではありません。過去40年以上多数の国の干渉を受け続け、常に世情が安定しない状態は、彼らの向上心を残酷なほどに削ぎ落としてしまいました。
今では少ないながらの支援も無くなり、極めて脆弱な経済状況と向き合うしかありません。
現金収入がなくなると現金化しやすいケシ栽培に手をだすという悪循環に陥ってしまいます。

現在のアフガニスタン政権状態は、イランのように国内の内需のみで経済活動が成り立つには程遠いものがあります。彼らの生活を改善する上で国際的な経済活動を活発にすることが必須です。世界中でサフラン需要が高まる今、アフガニスタンにとって正に自立する大きなチャンスなのです。

千葉でアフガニスタン産農作物の輸入販売をしているB.A(アフガニスタン大使館勤務)のお話

社会の情勢が不安なので子供の教育も十分には行えない。せめてでも高校を卒業させたい。

お金に困り、またケシの栽培をしようとする人もいるが、止めさせなくてはならない。
ケシ栽培していた畑から上質なサフランの球茎を一面に植え替えてサフラン栽培をおこなっている。